スノーボード滑走中の低い姿勢 ~インストラクター検定での場合~
目次 : スノーボードインストラクター検定での低い姿勢
Introduction
以前の記事ではスノーボード滑走中の低い姿勢が何が良いのかを検証しました。
その後、とある所でJSBA A級検定員の資格を持つ方のお話を伺い実技に関してのレクチャーを頂く機会が有りとても有意義な情報を得る事が出来ました。
インストラクター検定とは
先ず初めに通常の大会等の滑走と検定会(日本スノーボード協会JSBAでの場合です)での滑走との違いを明確にします。
実技検定では滑走種目が指定されます。
そしてそれぞれの滑走種目には着眼点と呼ばれるジャッジポイントが規定されています。
この着眼点に沿って検定員はその滑走に対しての点数を付けます。
すなわち滑走の上手い下手では無くてJSBAが教程本で規定しているこの滑走方法で実走して下さいとの指示に対して何処までJSBAの意図通りの滑走を演技出来るのかを判定される試験なのです。
検定会での低い姿勢
私が現役検定員から伺った話では実技検定ではスライド種目以外は3つの滑走ポジション、高い姿勢中間姿勢低い姿勢のうち中間姿勢と低い姿勢で滑走しないと点数が付きにくいとの事です。
平地での "低い姿勢" "中間姿勢" "高い姿勢"
理由はベーシックなりダイナミックなりの指定運動を的確に表現する為と切替時のエッジの抜き過ぎを防止する為の2点だそうです。
エッジを抜かない演技
エッジの抜き過ぎに関しては私自身も経験してそしてずっと危惧していました。
バッジテストから指定されるベーシックカーブはJSBA教程において沈み込み加重と立ち上がり抜重で行うと規定されていおり
多くの人が切替時には立ち上がりで抜重しなければならないと刷り込まれて居ます。
立ち上がりきった抜重
その結果切替直後のエッジコンタクトが充分に取れず捉えの弱い谷廻りのエッジングが無いカービンクターンが量産されて続けています。
教程本の改訂は不明ですが少なくともインストラクター検定の検定員間の総意においては受験者がこの部分を理解して必要以上の抜重を行っていないことをチェックする方向に向かっている様です。
この抜重し過ぎないとの意図を実際の演技手法として表現する為に、滑走中の上下動を高いポジションまで取らずに低い姿勢から始まり中間の姿勢で止める演技を推奨しているとの理解が正しいのではと考えています。
又この方法で実際にエッジが抜けすぎる事は無くなります。
ダイナミックカーブ指定の種目に関してはこの観点には関係無く伸ばし押し加重に必要なストロークを確保する為に以前より中間姿勢から低い姿勢で演技を行う事が普通です。
名実共に効率的な加重
ベーシックカーブでの沈み込み加重は
慣性の法則 : 移動している物体は外部から力が加わらない限り等速運動を続ける
を適用する物です。
すなわち身体と言う物体を上から下に移動させ移動の下限で身体の運動エネルギーをスノーボードに伝える現象を繰返している訳です。
そしてこのスノーボードに加重する操作は任意のタイミングで損失無く効率的に行う事が要求されます。
重心の上下の移動はどの位置からどの位置に移動しても変わりません、しかし中間姿勢で止める場合と低い姿勢で止める場合とでは身体の構造上大きな違いが現れてきます。
最も変換効率が高いのは移動中から瞬時に停止する動作になります。
これを中間姿勢で実現しようとすると目標とする膝の角度で瞬間的に停止させる事が要求されますが毎回同じ角度を更に瞬時に停止は機械でもない限り不可能です。
反復練習である程度までは改善出来たとしても限界が有ります。
これに対して下限点を自分の最も低い姿勢に設定してみると状況が改善されます。
これ以上屈曲出来ない状況の為メカニカルな瞬間停止には及ばずとも速くしかも毎回ほぼ同じ角度で停止する事が可能です。
この為沈み込み加重を演技する表現方法としてとても理に叶った物と考えられます。
ただしこの種の動作は身体への負荷が大きい為細心の注意が必要です。
膝をはじめとする各関節は必ず関節本来の稼働方向に屈曲させなければいけません、ここで不用意に捻り等を加えてしまうと関節を傷めます。
内側、外側の半月板損傷(断裂)等起こしてしまうと取り返しがつきません。くれぐれも注意しながら練習に励んで下さい。
検定員の心証
さて全く方向を変えてインストラクター検定特有のある意味心理戦について考えてみましょう。
既に述べましたがインストラクター検定は指定された種目で必要とされている要件が表現出来ているか否かを判定される物です。
従って検定員が思い描く演技を読み取って再現する事が出来ればベストと言う事になります。
そして最近の検定員間での共通認識が低い姿勢での滑走演技を良しとするのであれば素直にそれを表現する事が得策です。
中間姿勢からの低い姿勢で無くてもエッジを抜き過ぎ無ずストロークが充分で的確な加重で滑走する事も理論的には可能です。
しかしそれを検定員の心証に沿うように演技表現出来るのかは又別の問題です。
ここは変な拘りは棄てて伝わり易い方法を選択する事が得策です。
真偽の程
などと解説しつつも私はもうインストラクターを引退した身、本当にこの観点で合格点を得る事が出来るのかは試してみる事は叶いません。
でも間接的にですが今回の情報と技術を現役のインストラクターに伝えてその人が無事合格すれば正しかった事になります。
強くこだわる事でも有りませんがこんな事にもワクワクしながらスノーボードライフを続けるのも楽しいものです。
スノーボード技術的解説記事はこちらも参考にして下さい!
スノーボードスクールやインストラクターに関しての様々なお話はこちらを参照下さい!
0 件のコメント:
コメントを投稿