スノーボードのバッジテストを突破する為に
目次 : スノーボードのバッジテストを突破する為に
はじめに
皆さんの中にもスノーボードバッジテストに挑戦した又は挑戦している人も多く居ると思います。
そしてなかなか合格出来ずに悩んでいる人も結構多いのでは無いでしょうか。
私も2級受験の際には数年がかりであきれる程何度も何度も不合格を繰り返しました。
その後様々な経験を経て現在では何故自分が不合格を繰り返したのかやっと理解出来るようになりましたが今さら過去の自分にアドバイスを送る事は出来ません。
なのでせめて現在昔の自分と同じ様な不合格を繰り返している人に合格へのアドバイスを送りたいと思います。
バッジテストとは
スノーボード競技団体が各々独自の基準を策定してスノーボード滑走に関する技術的到達度をクラス分けし認定する制度です。
従って競技団体各々に競技に対する主義主張が有る為バッジテストの検定基準にもそれが色濃く反映されています。
例えるなら英語検定の様な物でしょうか。
有名なTOICK.TOFELや実用英語検定等の他にも国連英語検定等様々な英語検定が乱立しているのと似ています。
因みに昔はこのテストに合格するとその名の通り本当に級に応じた"バッジ"を貰えました。
しかし今ではバッジではなく認定証や認定カードが貰えるように制度が変わっています。
この記事では私が実際に経験したJSBA日本スノーボード協会のバッジテストについての物です。
バッジテストで求められる滑走とは
一般的なイメージではどれだけ上手く滑れるのかに応じて級分けされると思われがちですが実は全く的外れです。
他団体は詳しく有りませんが少なくともJSBAのバッジテストに関しては上手い下手はほとんど合格には無関係です。
バッジテストはある種の規定種目演技と考えると解りやすいと思います。
求められている基準を満たす滑走だと検定員が思えるか否かで合否は決まります。
では何を基準に合格、不合格を判定するのかと言えばJSBAがその級に対して求めている事項を正確に理解して正確に表現出来ているか否かを判定しているのです。
この為に級毎に"種目の指定"とその種目での"着眼点"と言うものが規定されています。
種目名には当然ながら各級の書目が記載されていますが、これもうかつに流してはいけません!
同じ"ショートターン"でも例えば
3級では"ショートターン"
2級では"カービングターンショート"
1級では"ベーシックカーブショート"
とさり気なく使い分けられています。と言う事はショートターンと言っても3級2級1級とそれぞれ全く別の種目を要求されている訳です。
そしてその後に続く着眼点か判定基準そのものでありくせ者なのです。
合格の為には
バッジテストで合格点を取得するためには
1.指定されている種目を理解する
2.着眼点が求めている物を正確に理解
3.それを実技滑走で"表現"
4.検定員を納得させる
等の必要が有ると考えています。 各々順番に考察してみましょう。
1.の"指定されている種目を理解"とは
文字通りですが先程例に上げたショートターンでは
「3級」の"ショートターン"
取り敢えずターンサイズとリズムがショートで有れば良いと言う意図になります
「2級」の"カービングターンショート"
カービングターンと明記されたのでスライドターンに対比したカービングターンの操作でショートターンを行う必要が生じます
「1級」の"ベーシックカーブショート"
ただのカービングではなくベーシックカーブと言う滑走方法が指定されたショートターンが必要になります。
それでは"カービングターン"とか"ベーシックカーブ"などは何処で決められているのでしょう?
これこそ事前に予備知識が無いと知り用が無いですが実は「JSBAスノーボード教程」と言う教則本に記載されており、これが規定となります。
つまりバッジテスト受験には少なくともJSBAスノーボード教程を入手し内容を確認する必要です。
2.の"着眼点が求めている物" を具体的に見てみましょう。
2級の"ベーシックカーブロング"の着眼点は
・安定した全体のフォーム
・スムーズで適切な上下運動
・適切なポジショニング
・左右均等なズレの少ないターン弧
「安定した全体のフォーム」とは滑走中に不安定な姿勢にならない事、バランスを保つために腕をぐるぐる回したりするとこも安定していないと見なされる可能性が有ります。
「スムーズで適切な上下運動」とはベーシックカーブで必要とされている重心の上下動に関する要求です。
急にぴょこんと立ち上がってしまったり、突然ガクンと沈み込んでしまったりでは無く滑らかな上下動です。
そして"適切な"と但し書きが付いているのはターンのパートパートと重心の上下運動の組み合わせのタイミングが合っている事を示します。
「適切なポジショニング」ここにも適切なとの表現が有ります(何が適切なのか説明が無いのは不親切ですね)滑走中のポジションには高い低い前寄り後寄り等いろいろあり得ます。
そのなかでベーシックカーブに適したポジションを取れているのかを見るとの意味です。
具体例としては切り替えの瞬間前足側にのり過ぎるとカービングでは無くて前足軸のスライドターン向けのポジショニングだと判定され減点対象となる可能性が有ります。
「左右均等なズレの少ないターン弧」これは比較的解りやすいですね。
トゥサイドとヒールサイドのターンサイズが同じどちらかが極端に大きかったり小さかったりはダメなんです。
そして大切なのが"ズレの少ない"です。基本的にベーシックカーブ指定なのでズレ無いカービングが理想です。
でもバッジテストのレベルではカービングが理解できて居ればある程度のズレは許容しますよとの意味合いです。
あくまである程度ですよ、カービングの滑走方法が理解できて居ればバッジテストでは実走の完成度は求められないと理解しましょう。
3.それを実技滑走で"表現" は 良く見て下さいね
"それを使って実技滑走"ではなくて
"それを実技滑走で表現"です。
単に理解した着眼点の通りに滑走してもダメと言う事です。
着眼点に従って滑れば検定員が観てくれるだろう…との性善説は通用しません。
最終目的は検定員に指定された滑走が出来ていると認識させる事なので検定員から観て理解して滑走しているとしか思えない様な滑走演技を見せつける必要が有るのです。
4.の検定員を納得させるとは
先程の3.と一部重複しますが検定員が思い描く合格レベルの滑走を見せつける必要が有ると言う事です。
この種目で観るのはこれでしょ!と動作を強調しながらの滑走です。
繰返しになりますが大事な事なので何度でも書きます。
バッジテストとは「上手い滑走を見せて下さいね」との趣旨では無くて「こんな事出来ますか?」と問われているテストなのです。
従ってテストが求めている「こんな事」とはどの様な運動なのかをしっかりと理解したうえで。
検定員の思い描く理想の「こんな事」を検定員の目の前で大袈裟に解りやすく演技して指定されている「こんな事」が出来ている点を納得してもらう事が合格に結び付くのです。
余談
今回はJSBAのバッジテストが一般のイメージと少々異なる事を解説しましたがそもそも何故こんな事になっているのでしょうか。
個人的推測ですが団体としての思惑がインストラクターの育成にウエイトを置いている為ではないかと考えます。
スノーボード愛好者の滑走技術向上の為には先ずインストラクターの育成が必要との考えでしょうか。
私がこう考える理由は以下です
指定種目や着眼点の内容を精査するとバッジテストの種目や着眼点はインストラクター検定の種目や着眼点から一部を取り出したサブセットになっています。
まるでバッジテストの延長線上にインストラクター検定が存在する様に思えます。
「バッジテストを受けたのならインストラクターを目指してね!」なのかはたまた「インストラクターを目指すのならば先ずはバッジテストを受けてね!」とそんな印象です。
純粋に滑走能力を判定するのであればもっと別の客観的に数値で判定出来る様なテストを規定出来るはずです。
例えば、
一定の斜度範囲でゲートを配置して指定時間内に滑走出来れば合格。
ロングターンならば大きく4か所か5か所に、ショートターンならば狭い間隔で10か所程度。
指定時間の区分によって級を分ける。
滑走途中バランスを崩しての手付きはタイム加算、転倒や不通過は失格等にすれば明確で誰にでも解りやすいですよね。
またその方が一般のスノーボーダーのニーズに合っているのではないかと思うのですがどうなんでしょうね。
終わりに
如何でしょうか、長文になってしまいましたがまとめるとバッジテストに合格するためには以下の3点が大切です。
バッジテストで求められている事を理解する
種目毎に指定されている着眼点を理解する
試験では求められている事を大袈裟な位表現して検定員を納得させる
数年前から検定形式だけでは無くてレッスン内検定が一般的に採用される様になってきました。
これは大変有難い事です。
何故ならば滑走の度にインストラクター(検定員)に話を聞いて自分の滑りを検定員がどの様に受け止めたかを直接確認出来るからです。
確実に結果を確かめながら受験出来る訳ですから利用しない手は無いですね。
・・・逆に言えばこの記事で説明した様な着眼点を一般の受験者が吟味、理解して試験に望むシステムは少し変と開催者側も悟ったのかもしれません。
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